江戸切子の色の種類について
江戸切子は江戸時代末期からつくられているカットグラスのことで、ガラスの表面にカットを入れる製法で作られます。明治時代に入ってからは、ヨーロッパからカットグラスの技法が導入され、ガラスの表面に様々な模様を施す製法が確立されました。江戸切子の模様に関して、今回は江戸切子に施されている色について説明します。
江戸切子という名前と色について
江戸切子という名前はカットグラスの和名であり、カットグラスの技法により装飾を施したガラス工芸品のことを言います。なので、切子と言っても、国産であったり手作りであったりしているものとは限りません。また、切子の解釈として、色つき(色被せ)のカットグラスのことを切子と呼んでいる人がいますが、実際にはそうではありません。たとえ色が入っていなくて透明なガラスにカットが入っていても、切子と呼ばれます。江戸切子は当初、透明のものが主流でした。
江戸切子の色の種類
江戸切子は無色透明のガラスをもとに、厚さの薄い色ガラスを無色透明のガラスに着せて施しています。江戸の風情から生まれる切子のデザインは、見る人を魅了します。江戸切子によく使われる色は大きく2種類あります。瑠璃色と銅赤色があり、この2つの色が江戸切子によく使われます。最初に厚さの薄い色ガラスを作り、その中に透明のガラスを吹き込み、溶着させる製法で作ります。
江戸切子の色の作り方
江戸切子には、瑠璃色と銅赤色の2種類の色が使われます。では、実際にこの2つの色はどのようにしてつくられるのでしょうか。
色ガラスを作るには、まずソーダ灰を使います。ソーダ灰の中に、瑠璃色なら酸化コバルトを、銅赤色なら文字通り亜酸化銅や銅を入れることで、それぞれの色が発色します。原料のガラスを1,600~2,000℃の熱さで溶かし、成形し、冷却炉で徐冷します。色によって徐冷方法に違いがありますが、冷却炉から出てきたところで初めて瑠璃色や銅赤色が現れます。発色の仕方は、原料と温度カーブの按配によって変わってきます。