江戸切子と薩摩切子の違い は何？

江戸切子と薩摩切子の違いは何？

江戸切子は江戸時代に誕生したカットグラスで、独特のデザインが特長です。今でもつくられる日本の伝統工芸の一つとなっています。色合いや文様を見ると、そのまま食器として使うのがもったいないくらいです。しかし、同じ切子で江戸切子とよく比較されるものがあります。それは薩摩切子と呼ばれる工芸品で、カットグラスの技法を用いて作られています。では、江戸切子と薩摩切子の違いは何なのでしょうか。

薩摩切子とはどんなものなのか？

薩摩切子とは、幕末の時代から薩摩藩（現在の鹿児島県）でつくられた工芸品です。江戸のガラス職人を招くなどして、薩摩藩が事業として作ったのが始まりです。薩摩切子は大名などへの贈り物として使われました。しかし、その後の薩英戦争をはじめ、明治に入ってからは西南戦争が起こるなどしたため、その後はつくられなくなりました。現在でも薩摩切子はつくられていますが、それは復刻生産というかたちで作られています。明治初頭までつくられた薩摩切子は現存するものではとても貴重で、高価で取引されています。

江戸切子と薩摩切子の違い

2つの切子が生まれたきっかけを見てみると、江戸切子は庶民の手によってつくられたものが始まりとされ、政府からの影響が少なく、工芸品としてずっと伝わっています。薩摩切子は先ほども言った通り、薩摩藩の事業として作られたもので、薩摩藩の衰退とともに歴史が途切れました。よくわかる違いとしてガラスを見ればわかります。江戸切子は、透明なガラスの物や色被せガラスを薄く被せたものがあります。薩摩切子は、色被せガラスを厚く被せているのが特長です。

薩摩切子のさらなる特長と江戸切子との違い

江戸切子は食器としても使えるように作られたのに対し、薩摩切子はデザインを重視した美術工芸品として作られています。
薩摩切子が作られるきっかけは、日本を近代化させるためとも言われています。軍備の増強のため、多大な資金を集めるために作られたもので、海外への交易品としても使われていました。薩摩切子のカットの仕方は、「ボカシ」という技法によるもので、寝かせながら緩やかにカットしていきます。カットが細かく、光によって幻想的な風合いになるデザインが特長です。